第一款 担保権消滅の請求(第104条―第112条)/会社更生法


(平成十四年十二月十三日法律第154号)

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最終改正:平成一五年八月一日法律第138号

(最終改正までの未施行法令)
平成十五年八月一日法律第134号(未施行)
 

  会社更生法(昭和二十七年法律第172号)の全部を改正する。


     第一款 担保権消滅の請求

(担保権消滅許可の決定)
第104条  裁判所は、更生手続開始当時更生会社の財産につき特別の先取特権、質権、抵当権又は商法の規定による留置権(以下この款において「担保権」という。)がある場合において、更生会社の事業の更生のために必要であると認めるときは、管財人の申立てにより、当該財産の価額に相当する金銭を裁判所に納付して当該財産を目的とするすべての担保権を消滅させることを許可する旨の決定をすることができる。
 前項の決定は、更生計画案を決議に付する旨の決定があった後は、することができない。
 第1項の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
 担保権の目的である財産の表示
 前号の財産の価額
 消滅すべき担保権の表示
 第1項の決定があった場合には、その決定書を、前項の書面(以下この条及び次条において「申立書」という。)とともに、当該申立書に記載された同項第3号の担保権を有する者(以下この款において「被申立担保権者」という。)に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
 第1項の決定に対しては、被申立担保権者は、即時抗告をすることができる。
 前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を被申立担保権者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
 申立書に記載された第3項第3号の担保権が根抵当権である場合において、根抵当権者が第4項の規定による送達を受けた時から二週間を経過したときは、当該根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
 民法第398条ノ二十第2項の規定は、第1項の申立てが取り下げられ、又は同項の決定が取り消された場合について準用する。

(価額決定の請求)
第105条  被申立担保権者は、申立書に記載された前条第3項第2号の価額(第107条及び第108条において「申出額」という。)について異議があるときは、当該申立書の送達を受けた日から一月以内に、担保権の目的である財産(次条において「財産」という。)について価額の決定を請求することができる。
 前条第1項の決定をした裁判所は、やむを得ない事由がある場合に限り、被申立担保権者の申立てにより、前項の期間を伸長することができる。
 第1項の規定による請求(以下この条から第108条までにおいて「価額決定の請求」という。)に係る事件は、更生裁判所が管轄する。
 価額決定の請求をする者は、その請求に係る手続の費用として更生裁判所の定める金額を予納しなければならない。
 前項に規定する費用の予納がないときは、更生裁判所は、価額決定の請求を却下しなければならない。

(財産の価額の決定)
第106条  価額決定の請求があった場合には、更生裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、評価人を選任し、財産の評価を命じなければならない。
 前項の場合には、更生裁判所は、評価人の評価に基づき、決定で、当該決定の時における財産の価額を定めなければならない。
 被申立担保権者が数人ある場合には、前項の決定は、被申立担保権者の全員につき前条第1項の期間(同条第2項の規定により期間が伸長されたときは、その伸長された期間。第108条第1項第1号において「請求期間」という。)が経過した後にしなければならない。この場合において、数個の価額決定の請求事件が同時に係属するときは、事件を併合して裁判しなければならない。
 第2項の決定は、価額決定の請求をしなかった被申立担保権者に対しても、その効力を有する。
 価額決定の請求についての決定に対しては、管財人及び被申立担保権者は、即時抗告をすることができる。
 価額決定の請求についての決定又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を管財人及び被申立担保権者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。

(費用の負担)
第107条  価額決定の請求に係る手続に要した費用は、前条第2項の決定により定められた価額が、申出額を超える場合には更生会社の負担とし、申出額を超えない場合には価額決定の請求をした者の負担とする。ただし、申出額を超える額が当該費用の額に満たないときは、当該費用のうち、その超える額に相当する部分は更生会社の負担とし、その余の部分は価額決定の請求をした者の負担とする。
 前条第5項の即時抗告に係る手続に要した費用は、当該即時抗告をした者の負担とする。
 第1項の規定により更生会社に対して費用請求権を有する者は、その費用に関し、次条第1項の規定により納付された金銭について、他の被申立担保権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。
 次条第5項の場合には、第1項及び第2項の費用は、これらの規定にかかわらず、更生会社の負担とする。この場合においては、更生会社に対する費用請求権は、共益債権とする。

(価額に相当する金銭の納付等)
第108条  管財人は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金銭を、裁判所の定める期限までに、裁判所に納付しなければならない。
 請求期間内に価額決定の請求がなかったとき、又は価額決定の請求のすべてが取り下げられ、若しくは却下されたとき 申出額に相当する金銭
 第106条第2項の決定が確定したとき 当該決定により定められた価額に相当する金銭
 裁判所は、前項の期限の到来前においては、同項の期限を変更することができる。
 被申立担保権者の有する担保権は、第1項又は第112条第2項の規定による金銭の納付があった時に消滅する。
 第1項又は第112条第2項の規定による金銭の納付があったときは、裁判所書記官は、消滅した担保権に係る登記又は登録の抹消を嘱託しなければならない。
 管財人が第1項若しくは第112条第2項の規定による金銭の納付をしないとき、又は管財人がこれらの規定による金銭の納付をする前に更生計画認可の決定があったときは、裁判所は、第104条第1項の決定を取り消さなければならない。

(更生計画認可の決定があった場合の納付された金銭の取扱い)
第109条  裁判所は、更生計画認可の決定があったときは、管財人(第72条第4項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復した場合は、更生会社)に対して、前条第1項の規定により納付された金銭に相当する額(第111条第6項の規定による金銭の交付があったときは、当該交付に係る額を控除した額)又は第112条第2項の規定により納付された金銭に相当する額の金銭を交付しなければならない。

(更生計画認可前に更生手続が終了した場合の納付された金銭の取扱い)
第110条  裁判所は、更生計画認可の決定前に更生手続が終了したときは、次項に規定する場合を除き、第108条第1項又は第112条第2項の規定により納付された金銭について、配当表に基づいて、被申立担保権者に対する配当を実施しなければならない。ただし、被申立担保権者の有する担保権の性質に反するときは、この限りでない。
 被申立担保権者が一人である場合又は被申立担保権者が二人以上であって第108条第1項若しくは第112条第2項の規定により納付された金銭で各被申立担保権者の有する担保権によって担保される債権及び第107条第1項の規定により更生会社の負担すべき費用を弁済することができる場合には、裁判所は、当該金銭の交付計算書を作成して、被申立担保権者に弁済金を交付し、剰余金を更生会社に交付する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
 民事執行法(昭和五十四年法律第4号)第85条及び第88条から第92条までの規定は第1項本文の配当の手続について、同法第88条、第91条及び第92条の規定は前項前段の規定による弁済金の交付の手続について、それぞれ準用する。

(更生計画認可前の剰余金等の管財人への交付)
第111条  裁判所は、更生計画認可の決定の前において、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、管財人の申立てにより、当該各号に定める金額を管財人に交付する旨の決定をすることができる。
 前条の規定により被申立担保権者に配当(弁済金の交付を含む。)をすべきこととなる可能性のある金額(次項において「配当等見込額」という。)を第108条第1項の規定により納付される金銭に相当する金額から控除しても、剰余がある場合 当該剰余金額
 すべての被申立担保権者が第108条第1項の規定により納付される金銭に相当する金額の全部又は一部を管財人に交付することに同意している場合 当該同意のある金額
 前項第1号に規定する配当等見込額は、次に掲げる金額の合計額とする。
 各被申立担保権者が届け出た更生債権等(確定したものを除く。)についての届出額のうち、次のイ及びロのいずれにも該当するもの
 当該届出の内容によれば各被申立担保権者の有する担保権の被担保債権(利息又は不履行による損害賠償若しくは違約金に係る被担保債権にあっては、更生手続開始後二年を経過する時までに生ずるものに限る。次号イにおいて同じ。)となるもの
 イの担保権によって担保された範囲のもの
 各被申立担保権者が届け出た更生債権等であって確定したものについての確定額のうち、次のイ及びロのいずれにも該当するもの
 確定した更生債権等の内容によれば各被申立担保権者の有する担保権の被担保債権となるもの
 イの担保権によって担保された範囲のもの
 第105条第4項の規定により予納された額
 裁判所は、第138条第1項に規定する債権届出期間が経過し、かつ、第108条第1項各号に掲げる場合のいずれかに該当するに至った後でなければ、第1項の決定をすることができない。
 第1項の申立てについての裁判に対しては、管財人及び被申立担保権者は、即時抗告をすることができる。
 第1項の申立て又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を管財人及び被申立担保権者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
 裁判所は、第1項の決定が確定したときは、次条第2項の規定による金銭の納付がされた場合を除き、当該決定において定める金額に相当する金銭を管財人(第72条第4項前段の規定により更生会社の機関がその権限を回復した場合は、更生会社)に交付しなければならない。

(差引納付)
第112条  裁判所は、管財人が第108条第1項の規定による金銭の納付をする前であっても、前条第1項の決定をすることができる。
 管財人は、第108条第1項の規定による金銭の納付をする前に前条第1項の決定が確定したときは、第108条第1項の規定にかかわらず、同項の規定により納付すべき金銭の額から当該決定において定める金額を控除した額を、同項に規定する期限までに、裁判所に納付すれば足りる。

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