第二目 強制競売(第45条―第92条)/民事執行法
(昭和五十四年三月三十日法律第4号)
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最終改正:平成一五年八月一日法律第138号
| (最終改正までの未施行法令) |
| 平成十五年八月一日法律第134号 | (未施行) |
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第二目 強制競売
(開始決定等)
第45条
執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、その開始決定において、債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。
2
前項の開始決定は、債務者に送達しなければならない。
3
強制競売の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押えの効力)
第46条
差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる。ただし、差押えの登記がその開始決定の送達前にされたときは、登記がされた時に生ずる。
2
差押えは、債務者が通常の用法に従つて不動産を使用し、又は収益することを妨げない。
(二重開始決定)
第47条
強制競売又は担保権の実行としての競売(以下この節において「競売」という。)の開始決定がされた不動産について強制競売の申立てがあつたときは、執行裁判所は、更に強制競売の開始決定をするものとする。
2
先の開始決定に係る強制競売若しくは競売の申立てが取り下げられたとき、又は先の開始決定に係る強制競売若しくは競売の手続が取り消されたときは、執行裁判所は、後の強制競売の開始決定に基づいて手続を続行しなければならない。
3
前項の場合において、後の強制競売の開始決定が配当要求の終期後の申立てに係るものであるときは、執行裁判所は、新たに配当要求の終期を定めなければならない。この場合において、既に第50条第1項(第188条において準用する場合を含む。)の届出をした者に対しては、第49条第2項の規定による催告は、要しない。
4
先の開始決定に係る強制競売又は競売の手続が停止されたときは、執行裁判所は、申立てにより、後の強制競売の開始決定(配当要求の終期までにされた申立てに係るものに限る。)に基づいて手続を続行する旨の裁判をすることができる。ただし、先の開始決定に係る強制競売又は競売の手続が取り消されたとすれば、第62条第2号に掲げる事項について変更が生ずるときは、この限りでない。
5
前項の申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押えの登記の嘱託等)
第48条
強制競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、直ちに、その開始決定に係る差押えの登記を嘱託しなければならない。
2
登記官は、前項の規定による嘱託に基づいて差押えの登記をしたときは、その登記簿の謄本を執行裁判所に送付しなければならない。
(開始決定及び配当要求の終期の公告等)
第49条
強制競売の開始決定に係る差押えの効力が生じた場合(その開始決定前に強制競売又は競売の開始決定がある場合を除く。)においては、執行裁判所は、物件明細書の作成までの手続に要する期間を考慮して、配当要求の終期を定めなければならない。
2
配当要求の終期が定められたときは、裁判所書記官は、開始決定がされた旨及び配当要求の終期を公告し、かつ、次に掲げるものに対し、債権(利息その他の附帯の債権を含む。)の存否並びにその原因及び額を配当要求の終期までに執行裁判所に届け出るべき旨を催告しなければならない。
一
第87条第1項第3号に掲げる債権者
二
第87条第1項第4号に掲げる債権者(抵当証券の所持人にあつては、知れている所持人に限る。)
三
租税その他の公課を所管する官庁又は公署
3
執行裁判所は、特に必要があると認めるときは、配当要求の終期を延期することができる。
4
前項の規定により配当要求の終期が延期されたときは、裁判所書記官は、延期後の終期を公告しなければならない。
(催告を受けた者の債権の届出義務)
第50条
前条第2項の規定による催告を受けた同項第1号又は第2号に掲げる者は、配当要求の終期までに、その催告に係る事項について届出をしなければならない。
2
前項の届出をした者は、その届出に係る債権の元本の額に変更があつたときは、その旨の届出をしなければならない。
3
前2項の規定により届出をすべき者は、故意又は過失により、その届出をしなかつたとき、又は不実の届出をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
(配当要求)
第51条
第25条の規定により強制執行を実施することができる債務名義の正本(以下「執行力のある債務名義の正本」という。)を有する債権者、強制競売の開始決定に係る差押えの登記後に登記された仮差押債権者及び第181条第1項各号に掲げる文書により一般の先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。
2
配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(配当要求の終期の変更)
第52条
配当要求の終期から、三月以内に売却許可決定がされないとき、又は三月以内にされた売却許可決定が取り消され、若しくは効力を失つたときは、配当要求の終期は、その終期から三月を経過した日に変更されたものとみなす。ただし、配当要求の終期から三月以内にされた売却許可決定が効力を失つた場合において、第67条の規定による次順位買受けの申出について売却許可決定がされたとき(その決定が取り消され、又は効力を失つたときを除く。)は、この限りでない。
(不動産の滅失等による強制競売の手続の取消し)
第53条
不動産の滅失その他売却による不動産の移転を妨げる事情が明らかとなつたときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消さなければならない。
(差押えの登記の抹消の嘱託)
第54条
強制競売の申立てが取り下げられたとき、又は強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その開始決定に係る差押えの登記の抹消を嘱託しなければならない。
2
前項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、その取下げ又は取消決定に係る差押債権者の負担とする。
(売却のための保全処分)
第55条
債務者又は不動産の占有者が不動産の価格を著しく減少する行為又はそのおそれがある行為(以下この項及び次項において「価格減少行為等」という。)をするときは、執行裁判所は、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、その行為をする者に対し、価格減少行為等を禁止し、又は一定の行為を命ずることができる。
2
不動産を占有する債務者又は不動産の占有者でその占有の権原を差押債権者、仮差押債権者若しくは第59条第1項の規定により消滅する権利を有する者に対抗することができないものが、前項の規定による命令に違反したとき、又は価格減少行為等をする場合において同項の規定による命令によつては不動産の価格の著しい減少を防止することができないと認めるべき特別の事情があるときは、執行裁判所は、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。次条において同じ。)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせて、その命令に違反した者又はその行為をする者に対し、不動産に対する占有を解いて執行官に保管させるべきことを命ずることができる。
3
執行裁判所は、債務者以外の占有者に対し前2項の規定による決定をする場合において、必要があると認めるときは、その者を審尋しなければならない。
4
事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、第1項又は第2項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。
5
第1項、第2項又は前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
6
第4項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
7
第2項の規定による決定は、申立人に告知された日から二週間を経過したときは、執行してはならない。
8
第2項の規定による決定は、相手方に送達される前であつても、執行することができる。
9
第1項若しくは第2項の申立て又は同項の規定による決定の執行に要した費用は、その不動産に対する強制競売の手続においては、共益費用とする。
(地代等の代払の許可)
第56条
建物に対し強制競売の開始決定がされた場合において、その建物の所有を目的とする地上権又は賃借権について債務者が地代又は借賃を支払わないときは、執行裁判所は、申立てにより、差押債権者がその不払の地代又は借賃を債務者に代わつて弁済することを許可することができる。
2
前条第9項の規定は、前項の申立てに要した費用及び同項の許可を得て支払つた地代又は借賃について準用する。
(現況調査)
第57条
執行裁判所は、執行官に対し、不動産の形状、占有関係その他の現況について調査を命じなければならない。
2
執行官は、前項の調査をするに際し、不動産に立ち入り、又は債務者若しくはその不動産を占有する第三者に対し、質問をし、若しくは文書の提示を求めることができる。
3
執行官は、前項の規定により不動産に立ち入る場合において、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
4
執行官は、第1項の調査のため必要がある場合には、市町村(特別区の存する区域にあつては、都)に対し、不動産(不動産が土地である場合にはその上にある建物を、不動産が建物である場合にはその敷地を含む。)に対して課される固定資産税に関して保有する図面その他の資料の写しの交付を請求することができる。
5
執行官は、前項に規定する場合には、電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を行う公益事業を営む法人に対し、必要な事項の報告を求めることができる。
(評価)
第58条
執行裁判所は、評価人を選任し、不動産の評価を命じなければならない。
2
評価人は、第6条第2項の規定により執行官に対し援助を求めるには、執行裁判所の許可を受けなければならない。
3
第18条第2項並びに前条第2項、第4項及び第5項の規定は、評価人が評価をする場合について準用する。
(売却に伴う権利の消滅等)
第59条
不動産の上に存する先取特権、使用及び収益をしない旨の定めのある質権並びに抵当権は、売却により消滅する。
2
前項の規定により消滅する権利を有する者、差押債権者又は仮差押債権者に対抗することができない不動産に係る権利の取得は、売却によりその効力を失う。
3
不動産に係る差押え、仮差押えの執行及び第1項の規定により消滅する権利を有する者、差押債権者又は仮差押債権者に対抗することができない仮処分の執行は、売却によりその効力を失う。
4
不動産の上に存する留置権並びに使用及び収益をしない旨の定めのない質権で第2項の規定の適用がないものについては、買受人は、これらによつて担保される債権を弁済する責めに任ずる。
5
利害関係を有する者が最低売却価額が定められる時までに第1項、第2項又は前項の規定と異なる合意をした旨の届出をしたときは、売却による不動産の上の権利の変動は、その合意に従う。
(最低売却価額の決定等)
第60条
執行裁判所は、評価人の評価に基づいて最低売却価額を定めなければならない。
2
執行裁判所は、必要があると認めるときは、最低売却価額を変更することができる。
(一括売却)
第61条
執行裁判所は、相互の利用上不動産を他の不動産(差押債権者又は債務者を異にするものを含む。)と一括して同一の買受人に買い受けさせることが相当であると認めるときは、これらの不動産を一括して売却することを定めることができる。ただし、一個の申立てにより強制競売の開始決定がされた数個の不動産のうち、あるものの最低売却価額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる見込みがある場合には、債務者の同意があるときに限る。
(物件明細書)
第62条
執行裁判所は、次に掲げる事項を記載した物件明細書を作成し、一般の閲覧に供するために、その写しを執行裁判所に備え置かなければならない。
一
不動産の表示
二
不動産に係る権利の取得及び仮処分の執行で売却によりその効力を失わないもの
三
売却により設定されたものとみなされる地上権の概要
(剰余を生ずる見込みのない場合の措置)
第63条
執行裁判所は、不動産の最低売却価額で執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)及び差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第47条第4項の規定により手続を続行する旨の裁判があつたときは、その裁判を受けた差押債権者をいう。以下この条において同じ。)の債権に優先する債権(以下この条において「優先債権」という。)を弁済して剰余を生ずる見込みがないと認めるときは、その旨を差押債権者に通知しなければならない。
2
差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から一週間以内に、手続費用及び優先債権の見込額を超える額(以下この条において「申出額」という。)を定めて、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める申出及び保証の提供をしないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。ただし、差押債権者がその期間内に同項の剰余を生ずる見込みがあることを証明したときは、この限りでない。
一
差押債権者が不動産の買受人になることができる場合
申出額に達する買受けの申出がないときは、自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出及び申出額に相当する保証の提供
二
差押債権者が不動産の買受人になることができない場合
買受けの申出の額が申出額に達しないときは、申出額と買受けの申出の額との差額を負担する旨の申出及び申出額と最低売却価額との差額に相当する保証の提供
3
前項第2号の申出及び保証の提供があつた場合において、最低売却価額を超える価額の買受けの申出がないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。
4
第2項の保証の提供は、執行裁判所に対し、最高裁判所規則で定める方法により行わなければならない。
(売却の方法及び公告)
第64条
不動産の売却は、執行裁判所の定める売却の方法により行う。
2
不動産の売却の方法は、入札又は競り売りのほか、最高裁判所規則で定める。
3
執行裁判所は、入札又は競り売りの方法により売却をするときは、売却の日時及び場所を定め、執行官に売却を実施させなければならない。
4
前項の場合においては、裁判所書記官は、売却すべき不動産の表示、最低売却価額並びに売却の日時及び場所を公告しなければならない。
(売却の場所の秩序維持)
第65条
執行官は、次に掲げる者に対し、売却の場所に入ることを制限し、若しくはその場所から退場させ、又は買受けの申出をさせないことができる。
一
他の者の買受けの申出を妨げ、若しくは不当に価額を引き下げる目的をもつて連合する等売却の適正な実施を妨げる行為をし、又はその行為をさせた者
二
他の民事執行の手続の売却不許可決定において前号に該当する者と認定され、その売却不許可決定の確定の日から二年を経過しない者
三
民事執行の手続における売却に関し刑法(明治四十年法律第45号)第95条から第96条の3まで、第197条から第197条の4まで若しくは第198条又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成十二年法律第130号)第1条第1項、第2条第1項若しくは第4条の規定により刑に処せられ、その裁判の確定の日から二年を経過しない者
(買受けの申出の保証)
第66条
不動産の買受けの申出をしようとする者は、最高裁判所規則で定めるところにより、執行裁判所が定める額及び方法による保証を提供しなければならない。
(次順位買受けの申出)
第67条
最高価買受申出人に次いで高額の買受けの申出をした者は、その買受けの申出の額が、最低売却価額を超え、かつ、最高価買受申出人の申出の額から買受けの申出の保証の額を控除した額を超える場合に限り、売却の実施の終了までに、執行官に対し、最高価買受申出人に係る売却許可決定が第80条第1項の規定により効力を失うときは、自己の買受けの申出について売却を許可すべき旨の申出(以下「次順位買受けの申出」という。)をすることができる。
(債務者の買受けの申出の禁止)
第68条
債務者は、買受けの申出をすることができない。
(買受けの申出をした差押債権者のための保全処分)
第68条の2
入札又は競り売りの方法により売却を実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産を占有する債務者又は不動産の占有者でその占有の権原を差押債権者、仮差押債権者若しくは第59条第1項の規定により消滅する権利を有する者に対抗することができないものが、不動産の売却を困難にする行為をし、又はその行為をするおそれがあるときは、執行裁判所は、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。以下この条において同じ。)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせて、その行為をし、又はその行為をするおそれがある者に対し、不動産に対する占有を解いて執行官又は申立人に保管させるべきことを命ずることができる。
2
差押債権者は、前項の申立てをするには、最低売却価額以上の額(以下この項において「申出額」という。)を定めて、次の入札又は競り売りの方法による売却の実施において申出額に達する買受けの申出がないときは自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出をし、かつ、申出額に相当する保証の提供をしなければならない。
3
事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより又は職権で、第1項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。
4
第55条第3項、第7項及び第8項の規定は第1項の規定による決定について、同条第5項の規定は第1項の申立てについての裁判、前項の規定による裁判又は同項の申立てを却下する裁判について、同条第6項の規定は前項の規定による決定について、同条第9項の規定は第1項の申立て又は同項の規定による決定の執行に要した費用について、第63条第4項の規定は第2項の保証の提供について準用する。
(売却の見込みのない場合の措置)
第68条の3
執行裁判所は、入札又は競り売りの方法による売却を三回実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に売却を実施させても売却の見込みがないと認めるときは、強制競売の手続を停止することができる。この場合においては、差押債権者に対し、その旨を通知しなければならない。
2
差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から三月以内に、買受けの申出をしようとする者があることを理由として、売却を実施させるべき旨を申し出たときは、執行裁判所は、売却を実施させなければならない。
3
差押債権者が前項の期間内に同項の規定による売却実施の申出をしないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消すことができる。同項の規定により売却を実施させた場合において買受けの申出がなかつたときも、同様とする。
(売却決定期日)
第69条
執行裁判所は、売却決定期日を開き、売却の許可又は不許可を言い渡さなければならない。
(売却の許可又は不許可に関する意見の陳述)
第70条
不動産の売却の許可又は不許可に関し利害関係を有する者は、次条各号に掲げる事由で自己の権利に影響のあるものについて、売却決定期日において意見を陳述することができる。
(売却不許可事由)
第71条
執行裁判所は、次に掲げる事由があると認めるときは、売却不許可決定をしなければならない。
一
強制競売の手続の開始又は続行をすべきでないこと。
二
最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格若しくは能力を有しないこと又はその代理人がその権限を有しないこと。
三
最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格を有しない者の計算において買受けの申出をした者であること。
四
最高価買受申出人、その代理人又は自己の計算において最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者が次のいずれかに該当すること。
イ その強制競売の手続において第65条第1号に規定する行為をした者
ロ その強制競売の手続において、代金の納付をしなかつた者又は自己の計算においてその者に買受けの申出をさせたことがある者
ハ 第65条第2号又は第3号に掲げる者
五
第75条第1項の規定による売却の不許可の申出があること。
六
最低売却価額若しくは一括売却の決定、物件明細書の作成又はこれらの手続に重大な誤りがあること。
七
売却の手続に重大な誤りがあること。
(売却の実施の終了後に執行停止の裁判等の提出があつた場合の措置)
第72条
売却の実施の終了から売却決定期日の終了までの間に第39条第1項第7号に掲げる文書の提出があつた場合には、執行裁判所は、他の事由により売却不許可決定をするときを除き、売却決定期日を開くことができない。この場合においては、最高価買受申出人又は次順位買受申出人は、執行裁判所に対し、買受けの申出を取り消すことができる。
2
売却決定期日の終了後に前項に規定する文書の提出があつた場合には、その期日にされた売却許可決定が取り消され、若しくは効力を失つたとき、又はその期日にされた売却不許可決定が確定したときに限り、第39条の規定を適用する。
3
売却の実施の終了後に第39条第1項第8号に掲げる文書の提出があつた場合には、その売却に係る売却許可決定が取り消され、若しくは効力を失つたとき、又はその売却に係る売却不許可決定が確定したときに限り、同条の規定を適用する。
(超過売却となる場合の措置)
第73条
数個の不動産を売却した場合において、あるものの買受けの申出の額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる見込みがあるときは、執行裁判所は、他の不動産についての売却許可決定を留保しなければならない。
2
前項の場合において、その買受けの申出の額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる見込みがある不動産が数個あるときは、執行裁判所は、売却の許可をすべき不動産について、あらかじめ、債務者の意見を聴かなければならない。
3
第1項の規定により売却許可決定が留保された不動産の最高価買受申出人又は次順位買受申出人は、執行裁判所に対し、買受けの申出を取り消すことができる。
4
売却許可決定のあつた不動産について代金が納付されたときは、執行裁判所は、前項の不動産に係る強制競売の手続を取り消さなければならない。
(売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告)
第74条
売却の許可又は不許可の決定に対しては、その決定により自己の権利が害されることを主張するときに限り、執行抗告をすることができる。
2
売却許可決定に対する執行抗告は、第71条各号に掲げる事由があること又は売却許可決定の手続に重大な誤りがあることを理由としなければならない。
3
民事訴訟法第338条第1項各号に掲げる事由は、前2項の規定にかかわらず、売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告の理由とすることができる。
4
抗告裁判所は、必要があると認めるときは、抗告人の相手方を定めることができる。
5
売却の許可又は不許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。
(不動産が損傷した場合の売却の不許可の申出等)
第75条
最高価買受申出人又は買受人は、買受けの申出をした後天災その他自己の責めに帰することができない事由により不動産が損傷した場合には、執行裁判所に対し、売却許可決定前にあつては売却の不許可の申出をし、売却許可決定後にあつては代金を納付する時までにその決定の取消しの申立てをすることができる。ただし、不動産の損傷が軽微であるときは、この限りでない。
2
前項の規定による売却許可決定の取消しの申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
3
前項に規定する申立てにより売却許可決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。
(買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等)
第76条
買受けの申出があつた後に強制競売の申立てを取り下げるには、最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意を得なければならない。ただし、他に差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。)がある場合において、取下げにより第62条第2号に掲げる事項について変更が生じないときは、この限りでない。
2
前項の規定は、買受けの申出があつた後に第39条第1項第4号又は第5号に掲げる文書を提出する場合について準用する。
(最高価買受申出人又は買受人のための保全処分)
第77条
債務者又は不動産の占有者でその占有の権原を差押債権者、仮差押債権者若しくは第59条第1項の規定により消滅する権利を有する者に対抗することができないものが、不動産の価格を減少させ、若しくは引渡しを困難にする行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあるときは、執行裁判所は、最高価買受申出人又は買受人の申立てにより、引渡命令の執行までの間、代金又はその額(買受けの申出の際に提供した保証が金銭でされているときは、その額を控除した残額)に相当する金銭を納付させ、かつ、担保を立てさせ、又は立てさせないで、その行為をし、又はその行為をするおそれがある者に対し、これらの行為を禁止し、一定の行為を命じ、又は不動産に対する占有を解いて執行官に保管させるべきことを命ずることができる。
2
第55条第3項、第4項及び第6項から第8項までの規定は前項の規定による決定について、同条第5項の規定は前項の申立て又はこの項において準用する第55条第4項の申立てについての裁判について準用する。
(代金の納付)
第78条
売却許可決定が確定したときは、買受人は、執行裁判所の定める期限までに代金を執行裁判所に納付しなければならない。
2
買受人が買受けの申出の保証として提供した金銭及び前条第1項の規定により納付した金銭は、代金に充てる。
3
買受人が第63条第2項第1号又は第68条の2第2項の保証を金銭の納付以外の方法で提供しているときは、執行裁判所は、最高裁判所規則で定めるところによりこれを換価し、その換価代金から換価に要した費用を控除したものを代金に充てる。この場合において、換価に要した費用は、買受人の負担とする。
4
買受人は、売却代金から配当又は弁済を受けるべき債権者であるときは、売却決定期日の終了までに執行裁判所に申し出て、配当又は弁済を受けるべき額を差し引いて代金を配当期日又は弁済金の交付の日に納付することができる。この場合において、買受人の受けるべき配当の額について異議の陳述又は申出があつたときは、買受人は、直ちに、異議に係る部分に相当する金銭を納付しなければならない。
(不動産の取得の時期)
第79条
買受人は、代金を納付した時に不動産を取得する。
(代金不納付の効果)
第80条
買受人が代金を納付しないときは、売却許可決定は、その効力を失う。この場合においては、買受人は、第66条の規定により提供した保証の返還を請求することができない。
2
前項前段の場合において、次順位買受けの申出があるときは、執行裁判所は、その申出について売却の許可又は不許可の決定をしなければならない。
(法定地上権)
第81条
土地及びその上にある建物が債務者の所有に属する場合において、その土地又は建物の差押えがあり、その売却により所有者を異にするに至つたときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合においては、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
(代金納付による登記の嘱託)
第82条
買受人が代金を納付したときは、裁判所書記官は、次に掲げる登記及び登記の抹消を嘱託しなければならない。
一
買受人の取得した権利の移転の登記
二
売却により消滅した権利又は売却により効力を失つた権利の取得若しくは仮処分に係る登記の抹消
三
差押え又は仮差押えの登記の抹消
2
買受人及び買受人から不動産の上に抵当権の設定を受けようとする者が、最高裁判所規則で定めるところにより、代金の納付の時までに申出をしたときは、前項の規定による嘱託は、登記の申請の代理を業とすることができる者で申出人の指定するものに嘱託書を交付して登記所に提出させる方法によつてしなければならない。この場合において、申出人の指定する者は、遅滞なく、嘱託書を登記所に提出しなければならない。
3
第1項の規定による嘱託をするには、嘱託書に売却許可決定の正本を添付しなければならない。
4
第1項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、買受人の負担とする。
(引渡命令)
第83条
執行裁判所は、代金を納付した買受人の申立てにより、債務者又は不動産の占有者に対し、不動産を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、事件の記録上買受人に対抗することができる権原により占有していると認められる者に対しては、この限りでない。
2
買受人は、代金を納付した日から六月を経過したときは、前項の申立てをすることができない。
3
執行裁判所は、債務者以外の占有者に対し第1項の規定による決定をする場合には、その者を審尋しなければならない。ただし、事件の記録上その者が買受人に対抗することができる権原により占有しているものでないことが明らかであるとき、又は既にその者を審尋しているときは、この限りでない。
4
第1項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5
第1項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
(売却代金の配当等の実施)
第84条
執行裁判所は、代金の納付があつた場合には、次項に規定する場合を除き、配当表に基づいて配当を実施しなければならない。
2
債権者が一人である場合又は債権者が二人以上であつて売却代金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる場合には、執行裁判所は、売却代金の交付計算書を作成して、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
3
代金の納付後に第39条第1項第1号から第6号までに掲げる文書の提出があつた場合において、他に売却代金の配当又は弁済金の交付(以下「配当等」という。)を受けるべき債権者があるときは、執行裁判所は、その債権者のために配当等を実施しなければならない。
4
代金の納付後に第39条第1項第7号又は第8号に掲げる文書の提出があつた場合においても、執行裁判所は、配当等を実施しなければならない。
(配当表の作成)
第85条
執行裁判所は、配当期日において、配当表を作成する。
2
配当期日には、第87条第1項各号に掲げる債権者及び債務者を呼び出さなければならない。
3
執行裁判所は、配当期日において、配当表の作成に関し、出頭した債権者及び債務者を審尋し、並びに即時に取り調べることができる書証の取調べをすることができる。
4
配当表には、売却代金の額のほか、各債権者について、債権の元本、利息その他の附帯の債権、執行費用の額並びに配当の順位及び額を記載しなければならない。
5
前項に規定する配当の順位及び額は、配当期日においてすべての債権者間に合意が成立した場合にはその合意により、その他の場合には民法、商法その他の法律の定めるところにより記載しなければならない。
6
第16条第3項及び第4項の規定は、第2項の債権者(同条第1項前段に規定する者を除く。)に対する呼出状の送達について準用する。
(売却代金)
第86条
売却代金は、次に掲げるものとする。
一
不動産の代金
二
第63条第2項第2号の規定により提供した保証のうち申出額から代金の額を控除した残額に相当するもの
三
第80条第1項後段の規定により買受人が返還を請求することができない保証
2
第61条の規定により不動産が一括して売却された場合において、各不動産ごとに売却代金の額を定める必要があるときは、その額は、売却代金の総額を各不動産の最低売却価額に応じて案分して得た額とする。各不動産ごとの執行費用の負担についても、同様とする。
3
第78条第3項の規定は、第1項第2号又は第3号に規定する保証が金銭の納付以外の方法で提供されている場合の換価について準用する。
(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第87条
売却代金の配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。
一
差押債権者(配当要求の終期までに強制競売又は一般の先取特権の実行としての競売の申立てをした差押債権者に限る。)
二
配当要求の終期までに配当要求をした債権者
三
差押え(最初の強制競売の開始決定に係る差押えをいう。次号において同じ。)の登記前に登記された仮差押えの債権者
四
差押えの登記前に登記(民事保全法(平成元年法律第91号)第53条第2項に規定する仮処分による仮登記を含む。)がされた先取特権(第1号又は第2号に掲げる債権者が有する一般の先取特権を除く。)、質権又は抵当権で売却により消滅するものを有する債権者(その抵当権に係る抵当証券の所持人を含む。)
2
前項第4号に掲げる債権者の権利が仮差押えの登記後に登記されたものである場合には、その債権者は、仮差押債権者が本案の訴訟において敗訴し、又は仮差押えがその効力を失つたときに限り、配当等を受けることができる。
3
差押えに係る強制競売の手続が停止され、第47条第4項の規定による手続を続行する旨の裁判がある場合において、執行を停止された差押債権者がその停止に係る訴訟等において敗訴したときは、差押えの登記後続行の裁判に係る差押えの登記前に登記された第1項第4号に規定する権利を有する債権者は、配当等を受けることができる。
(期限付債権の配当等)
第88条
確定期限の到来していない債権は、配当等については、弁済期が到来したものとみなす。
2
前項の債権が無利息であるときは、配当等の日から期限までの法定利率による利息との合算額がその債権の額となるべき元本額をその債権の額とみなして、配当等の額を計算しなければならない。
(配当異議の申出)
第89条
配当表に記載された各債権者の債権又は配当の額について不服のある債権者及び債務者は、配当期日において、異議の申出(以下「配当異議の申出」という。)をすることができる。
2
執行裁判所は、配当異議の申出のない部分に限り、配当を実施しなければならない。
(配当異議の訴え等)
第90条
配当異議の申出をした債権者及び執行力のある債務名義の正本を有しない債権者に対し配当異議の申出をした債務者は、配当異議の訴えを提起しなければならない。
2
前項の訴えは、執行裁判所が管轄する。
3
第1項の訴えは、原告が最初の口頭弁論期日に出頭しない場合には、その責めに帰することができない事由により出頭しないときを除き、却下しなければならない。
4
第1項の訴えの判決においては、配当表を変更し、又は新たな配当表の調製のために、配当表を取り消さなければならない。
5
執行力のある債務名義の正本を有する債権者に対し配当異議の申出をした債務者は、請求異議の訴え又は民事訴訟法第117条第1項の訴えを提起しなければならない。
6
配当異議の申出をした債権者又は債務者が、配当期日(知れていない抵当証券の所持人に対する配当異議の申出にあつては、その所持人を知つた日)から一週間以内に、執行裁判所に対し、第1項の訴えを提起したことの証明をしないとき、又は前項の訴えを提起したことの証明及びその訴えに係る執行停止の裁判の正本の提出をしないときは、配当異議の申出は、取り下げたものとみなす。
(配当等の額の供託)
第91条
配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、裁判所書記官は、その配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。
一
停止条件付又は不確定期限付であるとき。
二
仮差押債権者の債権であるとき。
三
第39条第1項第7号又は第183条第1項第6号に掲げる文書が提出されているとき。
四
その債権に係る先取特権、質権又は抵当権(以下この項において「先取特権等」という。)の実行を一時禁止する裁判の正本が提出されているとき。
五
その債権に係る先取特権等につき仮登記又は民事保全法第53条第2項に規定する仮処分による仮登記がされたものであるとき。
六
仮差押え又は執行停止に係る差押えの登記後に登記された先取特権等があるため配当額が定まらないとき。
七
配当異議の訴えが提起されたとき。
2
裁判所書記官は、配当等の受領のために執行裁判所に出頭しなかつた債権者(知れていない抵当証券の所持人を含む。)に対する配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。
(権利確定等に伴う配当等の実施)
第92条
前条第1項の規定による供託がされた場合において、その供託の事由が消滅したときは、執行裁判所は、供託金について配当等を実施しなければならない。
2
前項の規定により配当を実施すべき場合において、前条第1項第1号から第5号までに掲げる事由による供託に係る債権者若しくは同項第6号に掲げる事由による供託に係る仮差押債権者若しくは執行を停止された差押債権者に対して配当を実施することができなくなつたとき、又は同項第7号に掲げる事由による供託に係る債権者が債務者の提起した配当異議の訴えにおいて敗訴したときは、執行裁判所は、配当異議の申出をしなかつた債権者のためにも配当表を変更しなければならない。
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第二目 強制競売(第45条―第92条)/民事執行法