第1節 総則(第22条―第42条)/民事執行法


(昭和五十四年三月三十日法律第4号)

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最終改正:平成一五年八月一日法律第138号

(最終改正までの未施行法令)
平成十五年八月一日法律第134号(未施行)
 

    第1節 総則

(債務名義)
第22条  強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。
 確定判決
 仮執行の宣言を付した判決
 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)
 仮執行の宣言を付した支払督促
四の二  訴訟費用若しくは和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第42条第4項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)
 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)
 確定した執行判決のある外国裁判所の判決
六の二  確定した執行決定のある仲裁判断
 確定判決と同一の効力を有するもの(第3号に掲げる裁判を除く。)

(強制執行をすることができる者の範囲)
第23条  執行証書以外の債務名義による強制執行は、次に掲げる者に対し、又はその者のためにすることができる。
 債務名義に表示された当事者
 債務名義に表示された当事者が他人のために当事者となつた場合のその他人
 前2号に掲げる者の債務名義成立後の承継人(前条第1号、第2号又は第6号に掲げる債務名義にあつては、口頭弁論終結後の承継人)
 執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。
 第1項に規定する債務名義による強制執行は、同項各号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者に対しても、することができる。

(外国裁判所の判決の執行判決)
第24条  外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄し、この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
 執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない。
 第1項の訴えは、外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第118条各号に掲げる要件を具備しないときは、却下しなければならない。
 執行判決においては、外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。

(強制執行の実施)
第25条  強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。ただし、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。

(執行文の付与)
第26条  執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。
 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。

第27条  請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
 債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。

(執行文の再度付与等)
第28条  執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる。
 前項の規定は、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本を更に交付する場合について準用する。

(債務名義等の送達)
第29条  強制執行は、債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本又は謄本が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。第27条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。

(期限の到来又は担保の提供に係る場合の強制執行)
第30条  請求が確定期限の到来に係る場合においては、強制執行は、その期限の到来後に限り、開始することができる。
 担保を立てることを強制執行の実施の条件とする債務名義による強制執行は、債権者が担保を立てたことを証する文書を提出したときに限り、開始することができる。

(反対給付又は他の給付の不履行に係る場合の強制執行)
第31条  債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、強制執行は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証明したときに限り、開始することができる。
 債務者の給付が、他の給付について強制執行の目的を達することができない場合に、他の給付に代えてすべきものであるときは、強制執行は、債権者が他の給付について強制執行の目的を達することができなかつたことを証明したときに限り、開始することができる。

(執行文の付与等に関する異議の申立て)
第32条  執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。
 執行文の付与に対し、異議の申立てがあつたときは、裁判所は、異議についての裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又は担保を立てさせてその続行を命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
 第1項の規定による申立てについての裁判及び前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
 前項に規定する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
 前各項の規定は、第28条第2項の規定による少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本の交付について準用する。

(執行文付与の訴え)
第33条  第27条に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。
 前項の訴えは、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所が管轄する。
 第22条第1号から第3号まで、第6号又は第6号の2に掲げる債務名義及び同条第7号に掲げる債務名義のうち第6号に掲げるもの以外のもの
     第一審裁判所
 第22条第4号に掲げる債務名義のうち次号に掲げるもの以外のもの
     仮執行の宣言を付した支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所(仮執行の宣言を付した支払督促に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)
 第22条第4号に掲げる債務名義のうち民事訴訟法第397条第1項の申立てによるもの
     同条第3項及び第4項の規定により訴えの提起があつたものとみなされる裁判所
 第22条第4号の2に掲げる債務名義
     同号の処分をした裁判所書記官の所属する裁判所
 第22条第5号に掲げる債務名義
     債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所(この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する裁判所)
 第22条第7号に掲げる債務名義のうち和解又は調停(上級裁判所において成立した和解及び調停を除く。)に係るもの
     和解又は調停が成立した簡易裁判所、地方裁判所又は家庭裁判所(簡易裁判所において成立した和解又は調停に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)

(執行文付与に対する異議の訴え)
第34条  第27条の規定により執行文が付与された場合において、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて異議のある債務者は、その執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求めるために、執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる。
 異議の事由が数個あるときは、債務者は、同時に、これを主張しなければならない。
 前条第2項の規定は、第1項の訴えについて準用する。

(請求異議の訴え)
第35条  債務名義(第22条第2号又は第4号に掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。
 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。
 第33条第2項及び前条第2項の規定は、第1項の訴えについて準用する。

(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)
第36条  執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起があつた場合において、異議のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点について疎明があつたときは、受訴裁判所は、申立てにより、終局判決において次条第1項の裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てさせて強制執行の続行を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
 前項の申立てについての裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
 第1項に規定する事由がある場合において、急迫の事情があるときは、執行裁判所は、申立てにより、同項の規定による裁判の正本を提出すべき期間を定めて、同項に規定する処分を命ずることができる。この裁判は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起前においても、することができる。
 前項の規定により定められた期間を経過したとき、又はその期間内に第1項の規定による裁判が執行裁判所若しくは執行官に提出されたときは、前項の裁判は、その効力を失う。
 第1項又は第3項の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

(終局判決における執行停止の裁判等)
第37条  受訴裁判所は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えについての終局判決において、前条第1項に規定する処分を命じ、又は既にした同項の規定による裁判を取り消し、変更し、若しくは認可することができる。この裁判については、仮執行の宣言をしなければならない。
 前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

(第三者異議の訴え)
第38条  強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。
 前項に規定する第三者は、同項の訴えに併合して、債務者に対する強制執行の目的物についての訴えを提起することができる。
 第1項の訴えは、執行裁判所が管轄する。
 前2条の規定は、第1項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。

(強制執行の停止)
第39条  強制執行は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
 債務名義(執行証書を除く。)若しくは仮執行の宣言を取り消す旨又は強制執行を許さない旨を記載した執行力のある裁判の正本
 債務名義に係る和解、認諾又は調停の効力がないことを宣言する確定判決の正本
 第22条第2号から第4号の2までに掲げる債務名義が訴えの取下げその他の事由により効力を失つたことを証する調書の正本その他の裁判所書記官の作成した文書
 強制執行をしない旨又はその申立てを取り下げる旨を記載した裁判上の和解又は調停の調書の正本
 強制執行を免れるための担保を立てたことを証する文書
 強制執行の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の正本
 強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本
 債権者が、債務名義の成立後に、弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書
 前項第8号に掲げる文書のうち弁済を受けた旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、四週間に限るものとする。
 第1項第8号に掲げる文書のうち弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、二回に限り、かつ、通じて六月を超えることができない。

(執行処分の取消し)
第40条  前条第1項第1号から第6号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所又は執行官は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。
 第12条の規定は、前項の規定により執行処分を取り消す場合については適用しない。

(債務者が死亡した場合の強制執行の続行)
第41条  強制執行は、その開始後に債務者が死亡した場合においても、続行することができる。
 前項の場合において、債務者の相続人の存在又はその所在が明らかでないときは、執行裁判所は、申立てにより、相続財産又は相続人のために、特別代理人を選任することができる。
 民事訴訟法第35条第2項及び第3項の規定は、前項の特別代理人について準用する。

(執行費用の負担)
第42条  強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。)は、債務者の負担とする。
 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行にあつては、執行費用は、その執行手続において、債務名義を要しないで、同時に、取り立てることができる。
 強制執行の基本となる債務名義(執行証書を除く。)を取り消す旨の裁判又は債務名義に係る和解、認諾若しくは調停の効力がないことを宣言する判決が確定したときは、債権者は、支払を受けた執行費用に相当する金銭を債務者に返還しなければならない。
 第1項の規定により債務者が負担すべき執行費用で第2項の規定により取り立てられたもの以外のもの及び前項の規定により債権者が返還すべき金銭の額は、申立てにより、執行裁判所の裁判所書記官が定める。
 前項の申立てについての裁判所書記官の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
 執行裁判所は、第4項の規定による裁判所書記官の処分に対する異議の申立てを理由があると認める場合において、同項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定めるべきときは、自らその額を定めなければならない。
 第5項の規定による異議の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
 第4項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。
 民事訴訟法第74条第1項の規定は、第4項の規定による裁判所書記官の処分について準用する。この場合においては、第5項、第7項及び前項並びに同法第74条第3項の規定を準用する。

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