第3章 担保権の実行としての競売等(第181条―第195条)/民事執行法


(昭和五十四年三月三十日法律第4号)

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最終改正:平成一五年八月一日法律第138号

(最終改正までの未施行法令)
平成十五年八月一日法律第134号(未施行)
 

   第3章 担保権の実行としての競売等

(不動産競売の要件等)
第181条  第43条第1項に規定する不動産(同条第2項の規定により不動産とみなされるものを含む。以下「不動産」という。)を目的とする担保権の実行としての競売(以下この章において「不動産競売」という。)は、次に掲げる文書が提出されたときに限り、開始する。
 担保権の存在を証する確定判決若しくは家事審判法(昭和二十二年法律第152号)第15条の審判又はこれらと同一の効力を有するものの謄本
 担保権の存在を証する公証人が作成した公正証書の謄本
 担保権の登記(仮登記を除く。)のされている登記簿の謄本
 一般の先取特権にあつては、その存在を証する文書
 抵当証券の所持人が不動産競売の申立てをするには、抵当証券を提出しなければならない。
 担保権について承継があつた後不動産競売の申立てをする場合には、相続その他の一般承継にあつてはその承継を証する文書を、その他の承継にあつてはその承継を証する裁判の謄本その他の公文書を提出しなければならない。
 不動産競売の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、開始決定の送達に際し、不動産競売の申立てにおいて提出された前3項に規定する文書の目録及び第1項第4号に掲げる文書の写しを相手方に送付しなければならない。

(開始決定に対する執行異議)
第182条  不動産競売の開始決定に対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は不動産の所有者(不動産とみなされるものにあつては、その権利者。以下同じ。)は、担保権の不存在又は消滅を理由とすることができる。

(不動産競売の手続の停止)
第183条  不動産競売の手続は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。
 担保権のないことを証する確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。次号において同じ。)の謄本
 第181条第1項第1号に掲げる裁判若しくはこれと同一の効力を有するものを取り消し、若しくはその効力がないことを宣言し、又は同項第3号に掲げる登記を抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本
 担保権の実行をしない旨、その実行の申立てを取り下げる旨又は債権者が担保権によつて担保される債権の弁済を受け、若しくはその債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本
 担保権の登記の抹消されている登記簿の謄本
 不動産競売の手続の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の謄本
 不動産競売の手続の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の謄本
 担保権の実行を一時禁止する裁判の謄本
 前項第1号から第5号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。
 第12条の規定は、前項の規定による決定については適用しない。

(代金の納付による不動産取得の効果)
第184条  代金の納付による買受人の不動産の取得は、担保権の不存在又は消滅により妨げられない。

(増価競売の請求に基づく不動産競売の申立て)
第185条  民法第384条第2項に規定する増価競売の請求に基づく不動産競売の申立ては、第三取得者に増価競売の請求を発した日から一週間以内にしなければならない。
 債権者が、前項の申立てをした日から二週間以内に、民法第384条第1項に規定する期間内に増価競売の請求をしたことを証明しないときは、その申立ては、取り下げたものとみなす。

(増価競売の請求に基づく不動産競売における保証の提供)
第186条  前条第1項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、申立人(申立人が数人あるときは、最初の申立人)に対し、期間を定めて、第三取得者が提供した金額にその十分の一の額を加えた額に相当する保証の提供を命じなければならない。ただし、申立人が不動産を取得する資格を有しないときは、第三取得者の提供した金額の十分の一の額に相当する保証の提供を命ずるものとする。
 前項の保証の提供がないときは、執行裁判所は、不動産競売の申立てを却下しなければならない。
 次条後段の場合において、他に増価競売の請求に基づく不動産競売の申立てがあるときは、執行裁判所は、申立ての順序により、申立人に対し、期間を定めて、第1項の保証の提供を命じなければならない。
 第63条第4項の規定は第1項の保証の提供について、第78条第3項の規定は第1項の保証が金銭の納付以外の方法で提供されている場合について準用する。

(増価競売の請求の失効)
第187条  増価競売の請求をした債権者が第185条第1項に定める期間内に不動産競売の申立てをしないときは、増価競売の請求は、その効力を失う。その申立てを取り下げたとき、又は申立ての却下決定若しくは不動産競売の手続の取消決定が確定したときも、同様とする。

(不動産競売の開始決定前の保全処分)
第187条の2  不動産競売の開始決定がされる前に、債務者又は担保権の目的である不動産の所有者若しくは占有者が不動産の価格を著しく減少する行為又はそのおそれがある行為(以下この項及び次項において「価格減少行為等」という。)をする場合において、特に必要があるときは、執行裁判所は、その不動産につき担保権を実行しようとする者(次項において「担保権実行者」という。)の申立てにより、担保を立てさせ、又は立てさせないで、その行為をする者に対し、その不動産についての民事執行の売却の手続において買受人が代金を納付するまでの間、価格減少行為等を禁止し、又は一定の行為を命ずることができる。
 不動産競売の開始決定がされる前に、担保権の目的である不動産を占有する債務者若しくは所有者又はその不動産の占有者でその占有の権原を担保権実行者に対抗することができないものが、前項の規定による命令に違反したとき、又は価格減少行為等をする場合において同項の規定による命令によつては不動産の価格の著しい減少を防止することができないと認めるべき特別の事情があるときは、執行裁判所は、担保権実行者の申立てにより、担保を立てさせて、その命令に違反した者又はその行為をする者に対し、その不動産についての民事執行の売却の手続において買受人が代金を納付するまでの間、不動産に対する占有を解いて執行官に保管させるべきことを命ずることができる。
 前2項の申立てをするには、第181条第1項から第3項までに規定する文書を提示しなければならない。
 申立人が、第1項又は第2項の規定による決定の告知を受けた日から三月以内に、当該担保権の実行としての不動産競売の申立てをしたことを証する文書を提出しないときは、執行裁判所は、相手方又は当該担保権の目的である不動産の所有者の申立てにより、その決定を取り消さなければならない。
 第55条第3項、第4項及び第6項の規定は第1項又は第2項の規定による決定について、同条第5項の規定は第1項若しくは第2項の申立て又はこの項において準用する第55条第4項の申立てについての裁判について、同条第7項及び第8項の規定は第2項の規定による決定について、同条第9項の規定は第1項若しくは第2項の申立て又は同項の規定による決定の執行に要した費用について準用する。この場合において、同条第3項中「債務者以外の占有者」とあるのは、「債務者及び当該担保権の目的である不動産の所有者以外の占有者」と読み替えるものとする。

(不動産の強制競売の規定の準用)
第188条  第44条及び第2章第2節第一款第二目(第81条を除く。)の規定は、不動産競売について準用する。

(船舶の競売)
第189条  第2章第2節第二款及び第181条から第187条までの規定は、第112条に規定する船舶を目的とする担保権の実行としての競売について準用する。この場合において、第115条第3項中「執行力のある債務名義の正本」とあるのは「第189条において準用する第181条第1項から第3項までに規定する文書」と、第181条第1項第4号中「一般の先取特権」とあるのは「一般の先取特権又は商法第842条に定める先取特権」と、第185条第1項中「増価競売の請求を発した日」とあるのは「増価競売の請求を発した後船舶を目的とする担保権の実行としての競売の申立てをすることができることとなつた日」と読み替えるものとする。

(動産競売の要件)
第190条  第122条第1項に規定する動産(以下「動産」という。)を目的とする担保権の実行としての競売(以下「動産競売」という。)は、債権者が執行官に対し、動産を提出したとき、又は動産の占有者が差押えを承諾することを証する文書を提出したときに限り、開始する。

(動産の差押えに対する執行異議)
第191条  動産競売に係る差押えに対する執行異議の申立てにおいては、債務者又は動産の所有者は、担保権の不存在若しくは消滅又は担保権によつて担保される債権の一部の消滅を理由とすることができる。

(動産執行の規定の準用)
第192条  第2章第2節第三款(第123条第2項、第128条、第131条及び第132条を除く。)及び第183条の規定は動産競売について、第128条、第131条及び第132条の規定は一般の先取特権の実行としての動産競売について準用する。

(債権及びその他の財産権についての担保権の実行の要件等)
第193条  第143条に規定する債権及び第167条第1項に規定する財産権(以下この項において「その他の財産権」という。)を目的とする担保権の実行は、担保権の存在を証する文書(権利の移転について登記等を要するその他の財産権を目的とする担保権で一般の先取特権以外のものについては、第181条第1項第1号から第3号まで、第2項又は第3項に規定する文書)が提出されたときに限り、開始する。担保権を有する者が目的物の売却、賃貸、滅失若しくは損傷又は目的物に対する物権の設定若しくは土地収用法(昭和二十六年法律第219号)による収用その他の行政処分により債務者が受けるべき金銭その他の物に対して民法その他の法律の規定によつてするその権利の行使についても、同様とする。
 第2章第2節第四款(第146条第2項、第152条及び第153条を除く。)及び第182条から第184条までの規定は前項に規定する担保権の実行及び行使について、第146条第2項、第152条及び第153条の規定は前項に規定する一般の先取特権の実行及び行使について準用する。

(担保権の実行についての強制執行の総則規定の準用)
第194条  第38条、第41条及び第42条の規定は、担保権の実行としての競売並びに前条第1項に規定する担保権の実行及び行使について準用する。

(留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売)
第195条  留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による。

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