第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行(第143条―第167条)/民事執行法
(昭和五十四年三月三十日法律第4号)
民事に戻る
法令ユビキタスに戻る
最終改正:平成一五年八月一日法律第138号
| (最終改正までの未施行法令) |
| 平成十五年八月一日法律第134号 | (未施行) |
|
| | |
|
第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行
(債権執行の開始)
第143条
金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(以下「債権執行」という。)は、執行裁判所の差押命令により開始する。
(執行裁判所)
第144条
債権執行については、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が、この普通裁判籍がないときは差し押さえるべき債権の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
2
差し押さえるべき債権は、その債権の債務者(以下「第三債務者」という。)の普通裁判籍の所在地にあるものとする。ただし、船舶又は動産の引渡しを目的とする債権及び物上の担保権により担保される債権は、その物の所在地にあるものとする。
3
差押えに係る債権について更に差押命令が発せられた場合において、差押命令を発した執行裁判所が異なるときは、執行裁判所は、事件を他の執行裁判所に移送することができる。
4
前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(差押命令)
第145条
執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し債権の取立てその他の処分を禁止し、及び第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
2
差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。
3
差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
4
差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達された時に生ずる。
5
差押命令の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押えの範囲)
第146条
執行裁判所は、差し押さえるべき債権の全部について差押命令を発することができる。
2
差し押さえた債権の価額が差押債権者の債権及び執行費用の額を超えるときは、執行裁判所は、他の債権を差し押さえてはならない。
(第三債務者の陳述の催告)
第147条
差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。
2
第三債務者は、前項の規定による催告に対して、故意又は過失により、陳述をしなかつたとき、又は不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
(債権証書の引渡し)
第148条
差押えに係る債権について証書があるときは、債務者は、差押債権者に対し、その証書を引き渡さなければならない。
2
差押債権者は、差押命令に基づいて、第169条に規定する動産の引渡しの強制執行の方法により前項の証書の引渡しを受けることができる。
(差押えが一部競合した場合の効力)
第149条
債権の一部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その残余の部分を超えて差押命令が発せられたときは、各差押え又は仮差押えの執行の効力は、その債権の全部に及ぶ。債権の全部が差し押さえられ、又は仮差押えの執行を受けた場合において、その債権の一部について差押命令が発せられたときのその差押えの効力も、同様とする。
(先取特権等によつて担保される債権の差押えの登記等の嘱託)
第150条
登記又は登録(以下「登記等」という。)のされた先取特権、質権又は抵当権によつて担保される債権に対する差押命令が効力を生じたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権について差押えがされた旨の登記等を嘱託しなければならない。
(継続的給付の差押え)
第151条
給料その他継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の債権及び執行費用の額を限度として、差押えの後に受けるべき給付に及ぶ。
(差押禁止債権)
第152条
次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一
債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二
給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
2
退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
(差押禁止債権の範囲の変更)
第153条
執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる。
2
事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押命令が取り消された債権を差し押さえ、又は同項の規定による差押命令の全部若しくは一部を取り消すことができる。
3
前2項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、第三債務者に対し、支払その他の給付の禁止を命ずることができる。
4
第1項又は第2項の規定による差押命令の取消しの申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5
第3項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
(配当要求)
第154条
執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、配当要求をすることができる。
2
前項の配当要求があつたときは、その旨を記載した文書は、第三債務者に送達しなければならない。
3
配当要求を却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(差押債権者の金銭債権の取立て)
第155条
金銭の支払を目的とする債権(以下「金銭債権」という。)を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、その債権を取り立てることができる。ただし、差押債権者の債権及び執行費用の額を超えて支払を受けることができない。
2
差押債権者が第三債務者から支払を受けたときは、その債権及び執行費用は、支払を受けた額の限度で、弁済されたものとみなす。
3
差押債権者は、前項の支払を受けたときは、直ちに、その旨を執行裁判所に届け出なければならない。
(第三債務者の供託)
第156条
第三債務者は、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
2
第三債務者は、次条第1項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
3
第三債務者は、前2項の規定による供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
(取立訴訟)
第157条
差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。)を提起したときは、受訴裁判所は、第三債務者の申立てにより、他の債権者で訴状の送達の時までにその債権を差し押さえたものに対し、共同訴訟人として原告に参加すべきことを命ずることができる。
2
前項の裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
3
取立訴訟の判決の効力は、第1項の規定により参加すべきことを命じられた差押債権者で参加しなかつたものにも及ぶ。
4
前条第2項の規定により供託の義務を負う第三債務者に対する取立訴訟において、原告の請求を認容するときは、受訴裁判所は、請求に係る金銭の支払は供託の方法によりすべき旨を判決の主文に掲げなければならない。
5
強制執行又は競売において、前項に規定する判決の原告が配当等を受けるべきときは、その配当等の額に相当する金銭は、供託しなければならない。
(債権者の損害賠償)
第158条
差押債権者は、債務者に対し、差し押さえた債権の行使を怠つたことによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
(転付命令)
第159条
執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。
2
転付命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
3
転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
4
第1項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5
転付命令は、確定しなければその効力を生じない。
6
転付命令が発せられた後に第39条第1項第7号又は第8号に掲げる文書を提出したことを理由として執行抗告がされたときは、抗告裁判所は、他の理由により転付命令を取り消す場合を除き、執行抗告についての裁判を留保しなければならない。
(転付命令の効力)
第160条
差押命令及び転付命令が確定した場合においては、差押債権者の債権及び執行費用は、転付命令に係る金銭債権が存する限り、その券面額で、転付命令が第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなす。
(譲渡命令等)
第161条
差し押さえられた債権が、条件付若しくは期限付であるとき、又は反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、その債権を執行裁判所が定めた価額で支払に代えて差押債権者に譲渡する命令(以下「譲渡命令」という。)、取立てに代えて、執行裁判所の定める方法によりその債権の売却を執行官に命ずる命令(以下「売却命令」という。)又は管理人を選任してその債権の管理を命ずる命令(以下「管理命令」という。)その他相当な方法による換価を命ずる命令を発することができる。
2
執行裁判所は、前項の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。ただし、債務者が外国にあるとき、又はその住所が知れないときは、この限りでない。
3
第1項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
4
第1項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。
5
執行官は、差し押さえられた債権を売却したときは、債務者に代わり、第三債務者に対し、確定日付のある証書によりその譲渡の通知をしなければならない。
6
第159条第2項及び第3項並びに前条の規定は譲渡命令について、第159条第6項の規定は譲渡命令に対する執行抗告について、第65条及び第68条の規定は売却命令に基づく執行官の売却について、第159条第2項の規定は管理命令について、第84条第3項及び第4項、第88条、第94条第2項、第95条第1項、第3項及び第4項、第98条から第104条まで並びに第106条から第110条までの規定は管理命令に基づく管理について準用する。この場合において、第84条第3項及び第4項中「代金の納付後」とあるのは、「第161条において準用する第107条第1項の期間の経過後」と読み替えるものとする。
(船舶の引渡請求権の差押命令の執行)
第162条
船舶の引渡請求権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、第三債務者に対し、船舶の所在地を管轄する地方裁判所の選任する保管人にその船舶を引き渡すべきことを請求することができる。
2
前項の規定により保管人が引渡しを受けた船舶の強制執行は、船舶執行の方法により行う。
3
第1項に規定する保管人が船舶の引渡しを受けた場合において、その船舶について強制競売の開始決定がされたときは、その保管人は、第116条第1項の規定により選任された保管人とみなす。
(動産の引渡請求権の差押命令の執行)
第163条
動産の引渡請求権を差し押さえた債権者は、債務者に対して差押命令が送達された日から一週間を経過したときは、第三債務者に対し、差押債権者の申立てを受けた執行官にその動産を引き渡すべきことを請求することができる。
2
執行官は、動産の引渡しを受けたときは、動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を執行裁判所に提出しなければならない。
(移転登記等の嘱託)
第164条
第150条に規定する債権について、転付命令若しくは譲渡命令が確定したとき、又は売却命令による売却が終了したときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権を取得した差押債権者又は買受人のために先取特権、質権又は抵当権の移転の登記等を嘱託し、及び同条の規定による登記等の抹消を嘱託しなければならない。
2
前項の規定による嘱託をするには、嘱託書に、転付命令若しくは譲渡命令の正本又は売却命令に基づく売却について執行官が作成した文書の謄本を添付しなければならない。
3
第1項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項に規定する差押債権者又は買受人の負担とする。
4
第150条の規定により登記等がされた場合において、差し押さえられた債権について支払又は供託があつたことを証する文書が提出されたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その登記等の抹消を嘱託しなければならない。債権執行の申立てが取り下げられたとき、又は差押命令の取消決定が確定したときも、同様とする。
5
前項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項前段の場合にあつては債務者の負担とし、同項後段の場合にあつては差押債権者の負担とする。
(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第165条
配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる時までに差押え、仮差押えの執行又は配当要求をした債権者とする。
一
第三債務者が第156条第1項又は第2項の規定による供託をした時
二
取立訴訟の訴状が第三債務者に送達された時
三
売却命令により執行官が売得金の交付を受けた時
四
動産引渡請求権の差押えの場合にあつては、執行官がその動産の引渡しを受けた時
(配当等の実施)
第166条
執行裁判所は、第161条第6項において準用する第109条に規定する場合のほか、次に掲げる場合には、配当等を実施しなければならない。
一
第156条第1項若しくは第2項又は第157条第5項の規定による供託がされた場合
二
売却命令による売却がされた場合
三
第163条第2項の規定により売得金が提出された場合
2
第84条、第85条及び第88条から第92条までの規定は、前項の規定により執行裁判所が実施する配当等の手続について準用する。
(その他の財産権に対する強制執行)
第167条
不動産、船舶、動産及び債権以外の財産権(以下この条において「その他の財産権」という。)に対する強制執行については、特別の定めがあるもののほか、債権執行の例による。
2
その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものは、強制執行の管轄については、その登記等の地にあるものとする。
3
その他の財産権で第三債務者又はこれに準ずる者がないものに対する差押えの効力は、差押命令が債務者に送達された時に生ずる。
4
その他の財産権で権利の移転について登記等を要するものについて差押えの登記等が差押命令の送達前にされた場合には、差押えの効力は、差押えの登記等がされた時に生ずる。ただし、その他の財産権で権利の処分の制限について登記等をしなければその効力が生じないものに対する差押えの効力は、差押えの登記等が差押命令の送達後にされた場合においても、差押えの登記等がされた時に生ずる。
5
第48条、第54条及び第82条の規定は、権利の移転について登記等を要するその他の財産権の強制執行に関する登記等について準用する。
民事執行法に戻る
民事に戻る
法令ユビキタスに戻る
第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行(第143条―第167条)/民事執行法