第1章 総則(第1条―第21条)/民事執行法


(昭和五十四年三月三十日法律第4号)

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最終改正:平成一五年八月一日法律第138号

(最終改正までの未施行法令)
平成十五年八月一日法律第134号(未施行)
 

   第1章 総則

(趣旨)
第1条  強制執行、担保権の実行としての競売及び民法(明治二十九年法律第89号)、商法(明治三十二年法律第48号)その他の法律の規定による換価のための競売(以下「民事執行」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

(執行機関)
第2条  民事執行は、申立てにより、裁判所又は執行官が行う。

(執行裁判所)
第3条  裁判所が行う民事執行に関してはこの法律の規定により執行処分を行うべき裁判所をもつて、執行官が行う執行処分に関してはその執行官の所属する地方裁判所をもつて執行裁判所とする。

(任意的口頭弁論)
第4条  執行裁判所のする裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

(審尋)
第5条  執行裁判所は、執行処分をするに際し、必要があると認めるときは、利害関係を有する者その他参考人を審尋することができる。

(執行官等の職務の執行の確保)
第6条  執行官は、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。
 執行官以外の者で執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行うものは、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、執行官に対し、援助を求めることができる。

(立会人)
第7条  執行官又は執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行う者(以下「執行官等」という。)は、人の住居に立ち入つて職務を執行するに際し、住居主、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに出会わないときは、市町村の職員、警察官その他証人として相当と認められる者を立ち会わせなければならない。執行官が前条第1項の規定により威力を用い、又は警察上の援助を受けるときも、同様とする。

(休日又は夜間の執行)
第8条  執行官等は、日曜日その他の一般の休日又は午後七時から翌日の午前七時までの間に人の住居に立ち入つて職務を執行するには、執行裁判所の許可を受けなければならない。
 執行官等は、職務の執行に当たり、前項の規定により許可を受けたことを証する文書を提示しなければならない。

(身分証明書等の携帯)
第9条  執行官等は、職務を執行する場合には、その身分又は資格を証する文書を携帯し、利害関係を有する者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

(執行抗告)
第10条  民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができる。
 執行抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
 抗告状に執行抗告の理由の記載がないときは、抗告人は、抗告状を提出した日から一週間以内に、執行抗告の理由書を原裁判所に提出しなければならない。
 執行抗告の理由は、最高裁判所規則で定めるところにより記載しなければならない。
 次の各号に該当するときは、原裁判所は、執行抗告を却下しなければならない。
 抗告人が第3項の規定による執行抗告の理由書の提出をしなかつたとき。
 執行抗告の理由の記載が明らかに前項の規定に違反しているとき。
 執行抗告が不適法であつてその不備を補正することができないことが明らかであるとき。
 執行抗告が民事執行の手続を不当に遅延させることを目的としてされたものであるとき。
 抗告裁判所は、執行抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで原裁判の執行の停止若しくは民事執行の手続の全部若しくは一部の停止を命じ、又は担保を立てさせてこれらの続行を命ずることができる。事件の記録が原裁判所に存する間は、原裁判所も、これらの処分を命ずることができる。
 抗告裁判所は、抗告状又は執行抗告の理由書に記載された理由に限り、調査する。ただし、原裁判に影響を及ぼすべき法令の違反又は事実の誤認の有無については、職権で調査することができる。
 第5項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。
 第6項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
10  民事訴訟法(平成八年法律第109号)第349条の規定は、執行抗告をすることができる裁判が確定した場合について準用する。

(執行異議)
第11条  執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、同様とする。
 前条第6項前段及び第9項の規定は、前項の規定による申立てがあつた場合について準用する。

(取消決定等に対する執行抗告)
第12条  民事執行の手続を取り消す旨の決定に対しては、執行抗告をすることができる。民事執行の手続を取り消す執行官の処分に対する執行異議の申立てを却下する裁判又は執行官に民事執行の手続の取消しを命ずる決定に対しても、同様とする。
 前項の規定により執行抗告をすることができる裁判は、確定しなければその効力を生じない。

(代理人)
第13条  民事訴訟法第54条第1項の規定により訴訟代理人となることができる者以外の者は、執行裁判所でする手続については、訴え又は執行抗告に係る手続を除き、執行裁判所の許可を受けて代理人となることができる。
 執行裁判所は、いつでも前項の許可を取り消すことができる。

(費用の予納等)
第14条  執行裁判所に対し民事執行の申立てをするときは、申立人は、民事執行の手続に必要な費用として執行裁判所の定める金額を予納しなければならない。予納した費用が不足する場合において、執行裁判所が不足する費用の予納を命じたときも、同様とする。
 申立人が費用を予納しないときは、執行裁判所は、民事執行の申立てを却下し、又は民事執行の手続を取り消すことができる。
 前項の規定により申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。

(担保の提供)
第15条  この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所(以下この項において「発令裁判所」という。)又は執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は発令裁判所が相当と認める有価証券(社債等の振替に関する法律(平成十三年法律第75号)第129条第1項に規定する振替社債等を含む。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。
 民事訴訟法第77条、第79条及び第80条の規定は、前項の担保について準用する。

(送達の特例)
第16条  民事執行の手続について、執行裁判所に対し申立て、申出若しくは届出をし、又は執行裁判所から文書の送達を受けた者は、送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)を執行裁判所に届け出なければならない。この場合においては、送達受取人をも届け出ることができる。
 民事訴訟法第104条第2項及び第3項並びに第107条の規定は、前項前段の場合について準用する。
 第1項前段の規定による届出をしない者(前項において準用する民事訴訟法第104条第3項に規定する者を除く。)に対する送達は、事件の記録に表れたその者の住所、居所、営業所又は事務所においてする。
 前項の規定による送達をすべき場合において、第20条において準用する民事訴訟法第106条の規定により送達をすることができないときは、裁判所書記官は、同項の住所、居所、営業所又は事務所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第99号)第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第2項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるものに付して発送することができる。この場合においては、民事訴訟法第107条第2項及び第3項の規定を準用する。

(民事執行の事件の記録の閲覧等)
第17条  執行裁判所の行う民事執行について、利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。

(官庁等に対する援助請求等)
第18条  民事執行のため必要がある場合には、執行裁判所は、官庁又は公署に対し、援助を求めることができる。
 前項に規定する場合には、執行裁判所又は執行官は、民事執行の目的である財産(財産が土地である場合にはその上にある建物を、財産が建物である場合にはその敷地を含む。)に対して課される租税その他の公課について、所管の官庁又は公署に対し、必要な証明書の交付を請求することができる。
 前項の規定は、民事執行の申立てをしようとする者がその申立てのため同項の証明書を必要とする場合について準用する。

(専属管轄)
第19条  この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。

(民事訴訟法の準用)
第20条  特別の定めがある場合を除き、民事執行の手続に関しては、民事訴訟法の規定を準用する。

(最高裁判所規則)
第21条  この法律に定めるもののほか、民事執行の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

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