第2節 否認権(第127条―第141条)/民事再生法
(平成十一年十二月二十二日法律第225号)
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最終改正:平成一五年八月一日法律第138号
| (最終改正までの未施行法令) |
| 平成十五年八月一日法律第134号 | (未施行) |
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第2節 否認権
(否認権)
第127条
次に掲げる行為は、再生手続開始後、再生債務者財産のために否認することができる。
一
再生債務者が再生債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、再生債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
二
再生債務者が支払の停止又は破産、再生手続開始、整理開始若しくは特別清算開始の申立て(以下この条から第129条までにおいて「支払の停止等」という。)があった後にした再生債権者を害する行為及び担保の供与又は債務の消滅に関する行為。ただし、これにより利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと又は再生債権者を害する事実を知っていたときに限る。
三
前号の行為であって再生債務者の親族又は同居者を相手方とするもの。ただし、相手方が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び再生債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
四
再生債務者が支払の停止等があった後又はその前三十日以内にした担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、再生債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が再生債務者の義務に属しないもの。ただし、債権者において、その行為の当時、再生債務者が他の再生債権者との平等を害することを知ってした事実を知らなかったとき(その行為が支払の停止等があった後にされたものである場合にあっては、支払の停止等があったことをも知らなかったときに限る。)は、この限りでない。
五
再生債務者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為
2
前項の規定は、再生債務者が再生手続開始前の罰金等につき、その徴収の権限を有する者に対してした担保の供与又は債務の消滅に関する行為については、適用しない。
(手形債務支払の場合の例外)
第128条
前条第1項の規定は、再生債務者から手形の支払を受けた者がその支払を受けなければ手形上の債務者の一人又は数人に対する手形上の権利を失う場合には、適用しない。
2
前項の場合において、最終の償還義務者又は手形の振出しを委託した者が振出しの当時支払の停止等があったことを知り、又は過失によって知らなかったときは、第56条第1項の規定により否認権を行使する権限を付与された監督委員(以下「否認権限を有する監督委員」という。)又は管財人は、これらの者に再生債務者が支払った金額を償還させることができる。
(権利変動の対抗要件の否認)
第129条
支払の停止等があった後権利の設定、移転又は変更をもって第三者に対抗するために必要な行為(仮登記又は仮登録を含む。)をした場合において、その行為が権利の設定、移転又は変更があった日から十五日を経過した後悪意でしたものであるときは、これを否認することができる。ただし、当該仮登記又は仮登録以外の仮登記又は仮登録があった後にこれらに基づいてされた本登記又は本登録は、この限りでない。
2
前項の規定は、権利取得の効力を生ずる登録について準用する。
(執行行為の否認)
第130条
否認権は、否認しようとする行為につき、執行力のある債務名義があるとき、又はその行為が執行行為に基づくものであるときでも、行うことを妨げない。
(支払の停止を知っていたことに基づく否認の制限)
第131条
再生手続開始の申立ての日から一年以上前にした行為は、支払の停止の事実を知っていたことを理由として否認することができない。
(否認権行使の効果等)
第132条
否認権の行使は、再生債務者財産を原状に復させる。
2
第127条第1項第5号に掲げる行為が否認された場合において、相手方は、当該行為の当時善意であったときは、その現に受けている利益を償還すれば足りる。
3
再生債務者の行為が否認されたときは、相手方は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。
一
再生債務者の受けた反対給付が再生債務者財産中に現存する場合 当該反対給付の返還を請求する権利
二
再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益の全部が再生債務者財産中に現存する場合 共益債権者としてその現存利益の返還を請求する権利
三
再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益が再生債務者財産中に現存しない場合 再生債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利
四
再生債務者の受けた反対給付によって生じた利益の一部が再生債務者財産中に現存する場合 共益債権者としてその現存利益の返還を請求する権利及び再生債権者として反対給付と現存利益との差額の償還を請求する権利
(相手方の債権の回復)
第133条
再生債務者の行為が否認された場合において、相手方がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、相手方の債権は、これによって原状に復する。
(転得者に対する否認権)
第134条
次に掲げる場合には、否認権は、転得者に対しても、行使することができる。
一
転得者が転得の当時、それぞれその前者に対する否認の原因のあることを知っていたとき。
二
転得者が再生債務者の親族又は同居者であるとき。ただし、転得の当時、それぞれその前者に対する否認の原因のあることを知らなかったときは、この限りでない。
三
転得者が無償行為又はこれと同視すべき有償行為によって転得した場合において、それぞれその前者に対して否認の原因があるとき。
2
第132条第2項の規定は、前項第3号の規定により否認権の行使があった場合について準用する。
(否認権の行使)
第135条
否認権は、訴え又は否認の請求によって、否認権限を有する監督委員又は管財人が行う。
2
前項の訴え及び否認の請求事件は、再生裁判所が管轄する。
3
第1項に規定する方法によるほか、管財人は、抗弁によっても、否認権を行うことができる。
(否認の請求)
第136条
否認の請求をするときは、その原因たる事実を疎明しなければならない。
2
否認の請求を認容し、又はこれを棄却する裁判は、理由を付した決定でしなければならない。
3
裁判所は、前項の決定をする場合には、相手方又は転得者を審尋しなければならない。
4
否認の請求を認容する決定があった場合には、その決定書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項の規定は、適用しない。
(否認の請求を認容する決定に対する異議の訴え)
第137条
否認の請求を認容する決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。
2
前項の訴えは、再生裁判所が管轄する。
3
第1項の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、同項の決定を認可し、変更し、又は取り消す。
4
第1項の決定を認可する判決が確定したときは、その決定は、確定判決と同一の効力を有する。同項の訴えが、同項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときも、同様とする。
(否認権限を有する監督委員の訴訟参加等)
第138条
否認権限を有する監督委員は、第135条第1項の規定にかかわらず、否認権の行使に係る相手方(以下この条において「相手方」という。)及び再生債務者間の訴訟が係属する場合には、否認権を行使するため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。ただし、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る請求をする場合に限る。
2
否認権限を有する監督委員が当事者である否認の訴え(前条第1項の訴え及び第140条第2項の規定により受継された訴訟手続を含む。)が係属する場合には、再生債務者は、当該訴えの目的である権利又は義務に係る請求をするため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
3
前項に規定する場合には、相手方は、当該訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、再生債務者を被告として、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る訴えをこれに併合して提起することができる。
4
民事訴訟法第40条第1項から第3項までの規定は前3項の場合について、同法第43条並びに第47条第2項及び第3項の規定は第1項及び第2項の規定による参加の申出について準用する。
(否認権行使の期間)
第139条
否認権は、再生手続開始の日から二年を経過したときは、行使することができない。否認しようとする行為の日から二十年を経過したときも、同様とする。
(詐害行為取消訴訟等)
第140条
民法(明治二十九年法律第89号)第424条の規定により再生債権者の提起した訴訟又は破産法の規定による否認の訴訟が再生手続開始当時係属するときは、その訴訟手続は、中断する。
2
前項の規定によって中断した訴訟手続は、否認権限を有する監督委員又は管財人においてこれを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
3
第1項の規定によって中断した訴訟手続について前項の規定による受継があるまでに再生手続が終了したときは、第1項の訴訟を提起した再生債権者又は破産管財人は、当該訴訟手続を当然に受継する。
4
第1項の規定によって中断した訴訟手続について第2項の規定による受継があった後に再生手続が終了したときは、次条第1項の規定により中断している場合を除き、当該訴訟手続は中断する。
5
前項の場合又は第1項の訴訟手続が次条第1項の規定により中断した後に再生手続が終了した場合には、第1項の訴訟を提起した再生債権者又は破産管財人において当該訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
6
第2項の場合においては、相手方の第1項の訴訟を提起した再生債権者又は破産管財人に対する訴訟費用請求権は、共益債権とする。
(否認の訴え等の中断及び受継)
第141条
次の各号に掲げる裁判が取り消された場合には、当該各号に定める訴訟手続は、中断する。
一
監督命令又は第56条第1項の規定による裁判 否認権限を有する監督委員が当事者である否認の訴え(第137条第1項の訴えを含む。次号において同じ。)に係る訴訟手続、否認権限を有する監督委員が第138条第1項の規定による参加をした訴訟手続又は否認権限を有する監督委員が受継した前条第1項の訴訟手続
二
管理命令 管財人が当事者である否認の訴えに係る訴訟手続又は管財人が受継した前条第1項の訴訟手続
2
前項の規定によって中断した訴訟手続は、その後、監督委員が第56条第1項の規定により否認権を行使する権限を付与された場合又は管財人が選任された場合には、その監督委員又は管財人においてこれを受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
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