第1章 総則(第1条―第20条)/民事再生法


(平成十一年十二月二十二日法律第225号)

民事に戻る
法令ユビキタスに戻る


最終改正:平成一五年八月一日法律第138号

(最終改正までの未施行法令)
平成十五年八月一日法律第134号(未施行)
 

   第1章 総則

(目的)
第1条  この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。

(定義)
第2条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 再生債務者 経済的に窮境にある債務者であって、その者について、再生手続開始の申立てがされ、再生手続開始の決定がされ、又は再生計画が遂行されているものをいう。
 再生債務者等 管財人が選任されていない場合にあっては再生債務者、管財人が選任されている場合にあっては管財人をいう。
 再生計画 再生債権者の権利の全部又は一部を変更する条項その他の第154条に規定する条項を定めた計画をいう。
 再生手続 次章以下に定めるところにより、再生計画を定める手続をいう。

(外国人の地位)
第3条  外国人又は外国法人は、再生手続に関し、日本人又は日本法人と同一の地位を有する。

(再生事件の管轄)
第4条  この法律の規定による再生手続開始の申立ては、債務者が個人である場合には日本国内に営業所、住所、居所又は財産を有するときに限り、法人その他の社団又は財団である場合には日本国内に営業所、事務所又は財産を有するときに限り、することができる。
 民事訴訟法(平成八年法律第109号)により裁判上の請求をすることができる債権は、日本国内にあるものとみなす。

第5条  再生事件は、再生債務者が営業者であるときはその主たる営業所の所在地、外国に主たる営業所を有するときは日本における主たる営業所の所在地、営業者でないとき又は営業所を有しないときはその普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
 前項の規定による管轄裁判所がないときは、再生事件は、再生債務者の財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
 前2項の規定にかかわらず、法人が、株式会社の商法(明治三十二年法律第48号)の規定により計算される総株主の議決権の過半数又は有限会社の有限会社法(昭和十三年法律第74号)の規定により計算される総社員の議決権の過半数を有する場合において、当該法人について再生事件が係属しているときは、当該株式会社又は当該有限会社についての再生手続開始の申立ては、当該法人の再生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。当該株式会社又は当該有限会社について再生事件が係属しているときにおける当該法人についての再生手続開始の申立てについても、同様とする。
 第1項及び第2項の規定にかかわらず、法人について再生事件が係属している場合には、当該法人の代表者についての再生手続開始の申立ては、当該法人の再生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。法人の代表者について再生事件が係属している場合における当該法人についての再生手続開始の申立てについても、同様とする。
 第1項及び第2項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者のうちいずれか一人について再生事件が係属しているときは、それぞれ当該各号に掲げる他の者についての再生手続開始の申立ては、当該再生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
相互に連帯債務者の関係にある個人
相互に主たる債務者と保証人の関係にある個人
夫婦
 前各項の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、再生事件は、先に再生手続開始の申立てがあった裁判所が管轄する。

(専属管轄)
第6条  この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。

(再生事件の移送)
第7条  裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、職権で、再生事件を次に掲げる裁判所のいずれかに移送することができる。
 再生債務者の主たる営業所又は事務所以外の営業所又は事務所の所在地を管轄する地方裁判所
 再生債務者の住所又は居所の所在地を管轄する地方裁判所
 第5条第2項に規定する地方裁判所
 第5条第3項から第5項までに規定する地方裁判所
 第5条第3項から第5項までの規定により前号の地方裁判所に再生事件が係属しているときは、同条第1項又は第2項に規定する地方裁判所

(任意的口頭弁論等)
第8条  再生手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
 裁判所は、職権で、再生事件に関して必要な調査をすることができる。

(不服申立て)
第9条  再生手続に関する裁判につき利害関係を有する者は、この法律に特別の定めがある場合に限り、当該裁判に対し即時抗告をすることができる。その期間は、裁判の公告があった場合には、その公告が効力を生じた日から起算して二週間とする。

(公告等)
第10条  この法律の規定によってする公告は、官報に掲載してする。
 公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。
 この法律の規定によって送達をしなければならない場合には、次項に規定する場合を除き、公告をもって、これに代えることができる。
 この法律の規定によって公告及び送達をしなければならない場合には、送達は、書類を通常の取扱いによる郵便に付し、又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第99号)第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第2項に規定する信書便の役務を利用して送付する方法によりすることができる。
 前項に規定する場合における公告は、一切の関係人に対する送達の効力を有する。
 前3項の規定は、この法律に特別の定めがある場合には、適用しない。

(法人の再生手続に関する登記の嘱託等)
第11条  法人である再生債務者について再生手続開始の決定があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、再生手続開始の登記を再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならない。
 前項の再生債務者について第54条第1項、第64条第1項又は第79条第1項の規定による処分がされた場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、当該処分の登記を再生債務者の各営業所又は各事務所の所在地の登記所に嘱託しなければならない。
 前項に規定する第54条第1項の規定による処分の登記には監督委員の氏名又は名称及び住所並びに同条第2項の規定により指定された行為をも、前項に規定する第64条第1項又は第79条第1項の規定による処分の登記には管財人又は保全管理人の氏名又は名称及び住所をも登記しなければならない。
 第2項の規定は、同項に規定する処分の変更若しくは取消しがあった場合又は前項に規定する事項に変更が生じた場合について準用する。
 第1項の規定は、同項の再生債務者につき次に掲げる事由が生じた場合について準用する。
 再生手続開始の決定の取消し、再生手続廃止又は再生計画認可若しくは不認可の決定の確定
 再生計画取消しの決定の確定(再生手続終了前である場合に限る。)
 再生手続終結の決定による再生手続の終結
 登記官は、第1項の規定により再生手続開始の登記をする場合において、再生債務者について整理開始又は特別清算開始の登記があるときは、職権で、その登記を抹消しなければならない。
 登記官は、第5項第1号の規定により再生手続開始の決定の取消しの登記をする場合において、前項の規定によって抹消した登記があるときは、職権で、その登記を回復しなければならない。
 第6項の規定は、第5項第1号の規定により再生計画の認可の登記をする場合における破産の登記について準用する。

(登記のある権利についての登記等の嘱託)
第12条  次に掲げる場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、当該保全処分の登記を嘱託しなければならない。
 再生債務者財産(再生債務者が有する一切の財産をいう。以下同じ。)に属する権利で登記がされたものに関し第30条第1項の規定による保全処分があったとき。
 登記のある権利に関し第142条第1項又は第2項の規定による保全処分があったとき。
 前項の規定は、同項に規定する保全処分の変更若しくは取消しがあった場合又は当該保全処分が効力を失った場合について準用する。
 裁判所書記官は、再生手続開始の決定があった場合において、再生債務者に属する権利で登記がされたものについて商法第387条第2項(同法第454条第2項において準用する場合を含む。)の規定による登記があることを知ったときは、職権で、遅滞なく、その登記の抹消を嘱託しなければならない。
 前項の規定による登記の抹消がされた場合において、再生手続開始の決定を取り消す決定が確定したときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、同項の規定により抹消された登記の回復を嘱託しなければならない。
 第3項の規定は、再生計画認可の決定が確定した場合において、裁判所書記官が再生債務者に属する権利で登記がされたものについて破産の登記があることを知ったときについて準用する。

(否認の登記)
第13条  登記の原因である行為が否認されたときは、監督委員又は管財人は、否認の登記をしなければならない。登記が否認されたときも、同様とする。
 裁判所書記官は、前項の規定による否認の登記がされている場合において、再生債務者について、再生手続開始の決定の取消し若しくは再生計画不認可の決定が確定したとき、又は再生計画認可の決定が確定する前に再生手続廃止の決定が確定したときは、職権で、遅滞なく、否認の登記の抹消を嘱託しなければならない。ただし、その抹消につき登記上利害関係を有する第三者があるときは、この限りでない。
 裁判所書記官は、第1項の規定による否認の登記がされている場合において、再生債務者について、再生手続終結の決定があったとき、再生手続の終了前に再生計画取消しの決定が確定したとき、又は再生計画認可の決定が確定した後に再生手続廃止の決定が確定したときは、職権で、遅滞なく、再生手続の終結、再生計画の取消し又は再生手続の廃止の登記を嘱託しなければならない。

(非課税)
第14条  前3条の規定による登記については、登録免許税を課さない。

(登録への準用)
第15条  前3条の規定は、登録のある権利について準用する。

(再生手続の終了等に伴う破産宣告等)
第16条  破産宣告前の再生債務者について再生手続開始の申立ての棄却、再生手続廃止、再生計画不認可又は再生計画取消しの決定が確定した場合において、裁判所は、その再生債務者に破産の原因たる事実があると認めるときは、職権で、破産法(大正十一年法律第71号)に従い、破産の宣告をすることができる。
 前項の規定による破産の宣告があった場合における破産法第72条第2号から第5号まで、第73条第2項、第74条第1項並びに第104条第2号及び第4号の規定の適用については、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判又は行為は、その前に支払の停止又は破産の申立てがないときは、支払の停止又は破産の申立てとみなす。
 再生手続開始の申立ての棄却、再生手続廃止若しくは再生計画不認可の決定又は再生計画取消しの決定(再生手続の終了前にされた申立てに基づくものに限る。)が確定した場合 再生手続開始の決定、再生手続開始によって効力を失った整理若しくは特別清算の手続におけるその手続開始の命令又は詐欺破産の罪に該当することとなる再生債務者、その法定代理人若しくは再生債務者の理事、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者の行為
 再生計画取消しの決定で前号に掲げるもの以外のものが確定した場合 再生計画取消しの申立て
 破産宣告後の再生債務者について再生計画認可の決定の確定により破産手続が効力を失った後に第193条若しくは第194条の規定による再生手続廃止又は再生計画取消しの決定が確定した場合には、裁判所は、職権で、破産法に従い、破産の宣告をしなければならない。この場合における同法第72条第2号から第5号まで、第73条第2項、第74条第1項並びに第104条第2号及び第4号の規定の適用については、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める申立てがあった時に破産の申立てがあったものとみなす。
 第193条若しくは第194条の規定による再生手続廃止又は再生計画取消しの決定(再生手続の終了前にされた申立てに基づくものに限る。)が確定した場合 再生計画認可の決定の確定によって効力を失った破産手続における破産の申立て
 再生計画取消しの決定で前号に掲げるもの以外のものが確定した場合 再生計画取消しの申立て
 第1項及び前項の規定により破産の宣告がされた場合には、共益債権(再生手続が開始されなかった場合における第50条第2項並びに第120条第3項及び第4項に規定する請求権を含む。次項において同じ。)は、財団債権とする。
 破産宣告後の再生債務者について再生手続開始の申立ての棄却、第191条から第193条までの規定による再生計画認可の決定の確定前の再生手続廃止又は再生計画不認可の決定の確定によって破産手続が続行された場合も、共益債権は、財団債権とする。

(破産宣告前の保全処分)
第16条の2  裁判所は、次に掲げる場合において、必要があると認めるときは、職権で、破産法第155条第1項に規定する保全処分を命ずることができる。
 破産宣告前の再生債務者につき再生手続開始の申立ての棄却、再生手続廃止又は再生計画不認可の決定があった場合
 破産宣告後の再生債務者につき再生計画認可の決定の確定により破産手続が効力を失った後に第193条若しくは第194条の規定による再生手続廃止又は再生計画取消しの決定があった場合
 裁判所は、前項第1号の規定による保全処分を命じた場合において、前条第1項の規定による破産の宣告をしないこととしたときは、遅滞なく、当該保全処分を取り消さなければならない。
 第1項第1号の規定による保全処分は、同号に規定する決定を取り消す決定があった場合は、その効力を失う。同項第2号に規定する再生手続廃止又は再生計画取消しの決定を取り消す決定があった場合における同号の規定による保全処分についても、同様とする。
 破産法第112条前段の規定にかかわらず、第2項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

(事件に関する文書の閲覧等)
第17条  利害関係人は、裁判所書記官に対し、この法律(この法律において準用する他の法律を含む。)の規定に基づき、裁判所に提出され、又は裁判所が作成した文書その他の物件(以下この条及び次条において「文書等」という。)の閲覧を請求することができる。
 利害関係人は、裁判所書記官に対し、文書等の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
 前項の規定は、文書等のうち録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について利害関係人の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
 前3項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める裁判のいずれかがあるまでの間は、前3項の規定による請求をすることができない。ただし、当該者が再生手続開始の申立人である場合は、この限りでない。
 再生債務者以外の利害関係人 第26条第1項の規定による中止の命令、第27条第1項の規定による禁止の命令、第30条第1項の規定による保全処分、第31条第1項の規定による中止の命令、第54条第1項若しくは第79条第1項の規定による処分、第197条第1項の規定による中止の命令又は再生手続開始の申立てについての裁判
 再生債務者 再生手続開始の申立てに関する口頭弁論若しくは再生債務者を呼び出す審尋の期日の指定又は前号に定める裁判

(支障部分の閲覧等の制限)
第18条  次に掲げる文書等について、利害関係人がその閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(以下この条において「閲覧等」という。)を行うことにより、再生債務者の事業の維持再生に著しい支障を生ずるおそれ又は再生債務者の財産に著しい損害を与えるおそれがある部分(以下この条において「支障部分」という。)があることにつき疎明があった場合には、裁判所は、当該文書等を提出した再生債務者等(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人。以下この項及び次項において同じ。)、監督委員、調査委員又は個人再生委員の申立てにより、支障部分の閲覧等の請求をすることができる者を、当該申立てをした者及び再生債務者等に限ることができる。
 第41条第1項(第81条第3項において準用する場合を含む。)、第42条第1項、第56条第4項又は第81条第1項ただし書の許可を得るために裁判所に提出された文書等
 第62条第2項若しくは第223条第3項(第244条において準用する場合を含む。)に規定する調査の結果の報告又は第125条第2項若しくは第3項の規定による報告に係る文書等
 前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、利害関係人(同項の申立てをした者及び再生債務者等を除く。次項において同じ。)は、支障部分の閲覧等の請求をすることができない。
 支障部分の閲覧等の請求をしようとする利害関係人は、再生裁判所に対し、第1項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の規定による決定の取消しの申立てをすることができる。
 第1項の申立てを却下した決定及び前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
 第1項の規定による決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。

(民事訴訟法の準用)
第19条  再生手続に関しては、特別の定めがある場合を除き、民事訴訟法の規定を準用する。

(最高裁判所規則)
第20条  この法律に定めるもののほか、再生手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

民事再生法に戻る
民事に戻る
法令ユビキタスに戻る

第1章 総則(第1条―第20条)/民事再生法